契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
白い部屋での目覚め
口元の不快感で目が覚めた。

何十時間も眠ったみたいに、頭がすっきり冴えている。

…ううん。実際何十時間も眠っていたのかもしれない。

だけど、その間に何度か目覚めて、看護師さんとも悠さんとも会話をした記憶がうっすらとある。

どうやら口元の不快感の理由は酸素マスクのようだ。

腕には点滴の管が伸びていて、点滴バッグが3つ、スタンドに吊るされている。

あと…胸にはってあるのは心電図だな。

冷静に自分の状況を確認し、いかにも『目が覚めたら押してね』と言わんばかりに腕のあたりに置かれているナースコールを押した。

バタバタバタっと音がして、「失礼します」とやってきたのは森岡さん…7A、循環器内科の病棟の看護師さんだ。

「目が覚めた?自分の名前言えますか?」

「…風間…凛、です」

「ここがどこだかわかる?」

「7A…」

「おっ病棟まで言えるのね。よし、OKね」

聞きたいことはたくさんあるのに、「ちょっと待っててね」と森岡さんは去って行ってしまった。


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