契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
隣を盗み見ると、先生は黒いジャケットにグレーのパンツ姿。

シンプルだけど、ブランドのロゴマークの刺繍がおしゃれだ。

飲み会のときは白いシャツを着ていたし、白衣を見慣れているからか、妙に新鮮で別人のように見える。

私はヘビーローテーションのカットソーにロングスカートの組み合わせ。

職場に来ればすぐに着替えるから、通勤時の服装には全然気を使っていない。

…でも、今日に限ってはもう少しきれいな恰好をしてくればよかったと思う。

まさかこんなことになるなんて思ってもみなかったから。


「リクエストは?」

「いえ、特に」

「じゃあ俺の好きな店でいいか?」

「はい。お任せします」

決して強引さのないスマートなやりとり。

女嫌いというわりに慣れてるな…と思いながらも、車は職員駐車場の出入り口を抜けてお店へ向かった。
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