契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました

その後はまるで尋問のような母のマシンガントーク。

先生は嫌な顔ひとつせずに仕事のことや食べ物の好みをひとつひとつ真面目に答えていた。

先生の車に乗り込みホッとひと息つく。

「すみません、うちの母が…」

「いや、楽しいお母さんだな」

先生は嫌味なく微笑む。


車の中で、風間先生が自分の境遇について話してくれた。

風間先生は元々東京の人で、うちの病院から三十分ほどの場所でお父さんが内科医院を営んでいた。

だけど、先生が大学に入る前にご両親とも亡くなって医院は廃業したそうだ。

実家から三時間ほど走って都内へ戻り、お墓で手を合わせたあと、かつて彼のお父さんが営んでいた内科医院があったという場所へ車を走らせる。

「血縁じゃないけど、挨拶したい人がいるんだ。いいか？」

「はい」

内科医院があった場所はすでに更地になっていて、そのすぐそばにある民家へ向かった。