契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
診察時間帯は人の少ない医局も、お昼過ぎの時間帯には戻ってきている先生が多い。

だけど、午前中の診察の進み具合で早めに休憩をとったり、逆に遅めにとったりする場合もあって、なかなか用事のある先生にお会できない。

今日は福原さんの主治医の戸田先生が戻るのを待ち、食事のことで相談をしたら、「休み時間にまでそんな話をしたくない」と言われてしまった。

少し落ち込みながら医師休憩室をちらっと覗いたら、風間先生がソファにひとりで新聞を広げていた。

そうだ。風間先生にも用事があったんだ。

「風間先生、お疲れ様です」

他にも休んでいる先生はいるから、声を潜めながらそっと先生にそばに寄った。

「ああ、相沢さん。お疲れ様」

先生は新聞を少しずらし、目線をこっちに向けて朗らかに微笑む。

「今日の栄養指導の重野さん、カルテに詳しく書いてくださってありがとうございました」

「ああ。重野さんは自分で話すのが苦手な人だからと思って」

「おかげでスムーズに指導ができて助かりました」

「それはよかった。今日は飲み会だから、あんまり頑張って残業するなよ」

「はい、大丈夫です」


大丈夫といいつつも、まだ仕事はたくさん残っている。

一番下っ端なのに飲み会に遅れたら大変だ。

風間先生に会釈をして、足早に事務室へ戻って行った。
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