契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
「あら相沢さん? 帰ったんじゃなかったの?」

「忘れ物しちゃいまして」

不思議そうな顔をする課長に愛想笑いをして、ロッカールームへ向かう。

悠さんがプライベートのスマホをすぐに見られるとは限らないから、私用で申し訳ないけど、院内用のPHSで…

『はい、風間です』

「お疲れ様です。相沢です。
ストーカーらしき人がいて、マンションの前で先生を待ち構えています」

忙しかったら申し訳ないと思って簡潔に言ったつもりだったけど、悠さんは電話の向こうで少し黙り込んだ。

『…背の低い女か』

「知ってるんですか?」

電話越しに大きな風のようなため息が聞こえた。

『あの女のせいで引っ越したのに、また住所がバレたのか』

あの人のせいで引っ越し…?

「知らずに先生が部屋に戻ろうとしたら、危ないかもしれないと思って」

『…助かる。もうすぐ帰れるから、ちょっと待っててくれないか。
危ないから乗せて帰る』

そう言って電話は切れた。

< 64 / 175 >

この作品をシェア

pagetop