契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
矛盾
翌週末、悠さんが当直で帰って来ないため、美咲に誘われて彼女のアパートに泊まりに行くことになった。
美咲の部屋はかわいい雑貨であふれている。
サバサバしているのに、私よりずっと女子力が高いのだ。
「お腹の傷どう?痛くない?」
「うん、もう全然。絆創膏で済んじゃうくらいの浅さだったからね」
「そっか、よかった」
猫脚のかわいいリビングテーブルにアイスコーヒーを二つ運んできてくれた美咲は、二つある座椅子の片方に座った。
「新婚生活はどうよ。
毎朝一緒に通勤してるし、仲良さそうだねえ」
「私は恥ずかしいからいいって言ったんだけど……
同じところで働いてるんだしって悠さんが」
「悠さん、ね」
美咲は何か言いたげにニヤリと笑う。
「…ねえ、凛は本当に風間先生のことが好きで結婚したの?」
「えっ?」
唐突な質問に、ドキッとして心臓が縮み上がった。
「あまりにも急な話だったしさ」
…あのときは好きとか嫌いとか、そんなことは頭になく、ただ打算ばかりだった。
だけど、今はこの状況がとても苦しい。
『幸せな夫婦だ』という錯覚を起こしては、『違う、幸せな夫婦を演じている契約結婚なんだ』と現実に戻る。
その繰り返しで、ずっと心が悶々としている。
だけど、契約結婚だなんて知られるわけにはいかないから、美咲には笑って答える。
「うん、もちろんだよ」
美咲はホッとしたように頬を緩めた。
「ホントもう勘弁してね。ストーカー殺人未遂とか」
「ははっ。大丈夫だよ」
「のんきだなあ」
根拠のない自信を見せる私に、美咲はあきれ返った顔をした。
美咲の部屋はかわいい雑貨であふれている。
サバサバしているのに、私よりずっと女子力が高いのだ。
「お腹の傷どう?痛くない?」
「うん、もう全然。絆創膏で済んじゃうくらいの浅さだったからね」
「そっか、よかった」
猫脚のかわいいリビングテーブルにアイスコーヒーを二つ運んできてくれた美咲は、二つある座椅子の片方に座った。
「新婚生活はどうよ。
毎朝一緒に通勤してるし、仲良さそうだねえ」
「私は恥ずかしいからいいって言ったんだけど……
同じところで働いてるんだしって悠さんが」
「悠さん、ね」
美咲は何か言いたげにニヤリと笑う。
「…ねえ、凛は本当に風間先生のことが好きで結婚したの?」
「えっ?」
唐突な質問に、ドキッとして心臓が縮み上がった。
「あまりにも急な話だったしさ」
…あのときは好きとか嫌いとか、そんなことは頭になく、ただ打算ばかりだった。
だけど、今はこの状況がとても苦しい。
『幸せな夫婦だ』という錯覚を起こしては、『違う、幸せな夫婦を演じている契約結婚なんだ』と現実に戻る。
その繰り返しで、ずっと心が悶々としている。
だけど、契約結婚だなんて知られるわけにはいかないから、美咲には笑って答える。
「うん、もちろんだよ」
美咲はホッとしたように頬を緩めた。
「ホントもう勘弁してね。ストーカー殺人未遂とか」
「ははっ。大丈夫だよ」
「のんきだなあ」
根拠のない自信を見せる私に、美咲はあきれ返った顔をした。