契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
「いやあああああああああああああ」

爪を立てて腕にしがみつく私に、悠さんはまた呆れたように笑っている。

お化け屋敷なんだから当然だけど、彼らは悪意を持って私たちを脅かそうとしている。

思惑通り、私はもう声も枯れて出ないくらいにぐったりだ。


悠さんは涼しい顔で次の乗り物を探している。

この人に苦手なものはないのかな。

「凛はなんでもダメだな。お化けも脅かし甲斐があっていいだろうけど」

「怖がりではないはずなんですけど…」

言い訳をして笑ってみせるけど、叫びまくって掠れた声で言われても説得力がないだろう。

「次は何にしましょう?混んできて並ばないと乗れないものばっかりですね」

「…じゃああれは?」

悠さんが指さしたのは、回るティーカップ。

あれなら待ち時間も少なく済みそうだ。


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