契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
「ただいま」

「おかえりなさい」

リビングに来た悠さんの姿に気づいてソファから立ち上がると、彼は私を抱き寄せてキスをして、もう一度「ただいま」と微笑んだ。

あれから悠さんは、また今まで通りの触れるだけのキスしかしなくなった。

それを寂しいと…物足りないと思う私は、欲求不満なのかな。

「あ、そうだ。悠さん、明後日栄養課の飲み会に行ってきますね」

「ああ。酔っ払いにからまれたら大変だから一人で行動するなよ? それと、迷子にはなるなよ?」

「いい大人が迷子になんかなりませんってば」

本気で心配そうな口調の悠さんに、私は笑みをこぼす。

悠さんは時々父親みたいなことを言う。

遊園地のときも『はぐれるなよ』とか言っていたし、そんなに私が危なっかしく見えるのかな。

早くに父親を亡くした私には、そういう悠さんの言葉が少し嬉しかったりもするけど。


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