ブラックサンタクロース
『お前は……なにもわかっていないな』
目の前でわたしを見下ろすジンさんが、ため息をつく。
しっかり捉えていた視線を外され、寂しい気持ちが押し寄せてきた。
呆れられてしまったのだろうか。
「見てわかれよ」
……え……?
「なにをですか?」
「お前と俺との関係に、なんて名前をつければいいかも。お前に抱く感情をどう言葉で説明すればいいかわからなければ、答えが存在するかもわからい」
ジンさんは、真面目な顔つきで続けた。
「だけど少なくともうちに誰かを招いたのはお前が初めてだ。お前だから出入りを許してやってる。……アマリはただの不法侵入だ」
「サンタさん……」
「呼び方戻ってんぞ」
「ジンさんと仲良くなれてるってことですか?」
「十分仲いいだろ」
「……!!」
「これでもかなりかまってやってると思うんだが」
「っ、ありがとうございます」
あなたは、わたしが思うより
わたしに心を開いてくれてるんですね……?