ブラックサンタクロース


そういえば……。


「アマリさんは?」


姿が見えない。


「アイツなら帰った」


それを聞いて2人きりになれたことが嬉しくなる。

ジンさんとわたしの時間がなによりも好き。


「そうですか……ふあ、」


シャツを頭からすっぽりかぶせられる。


ジンさんの服は当然大きいから、わたしはそれをワンピースのように着こなすのだが。

フィットしてない感が、大のお気に入り。


「……ジンさんのニオイがする」

「オッサンの香り?」


苦笑いして問いかけられる。


「違いますよ。いい香りです」


優しい香り。

大好きな、香り。


「……髪、ちゃんとかわかせよ」

「はい」


ドライヤーをかけに洗面所に向かった。
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