ブラックサンタクロース
「……知らねーよ」
「それともわたしとこうしていて、それでドキドキしてます?」
「っ、黙れ」
あっ……いま、照れましたよね?
そうですよね?
「ジンさん可愛い」
「こんなオッサンに可愛いなんて言うのお前くらいだ」
「だって可愛いもん」
「ハイハイ」
「ジンさんモテるでしょ」
「……別に」
「間がありました」
「たいしてモテねぇよ」
嘘だ。絶対職場とかでモテてる。
学生時代だって。人気ありそう。
「ほんとはもっと色っぽい女の子とこういうことしたいですか?」
わたしみたいなタイプは規格外ですか。
「アホか。お前にじゃなきゃ、こんなこと――」
言葉を途中で切ってしまうジンさん。
「ジンさん、わたしにじゃなきゃって?」
「……なんでもない」
「他の子にはしないってことですか?」
「…………」
「わたしにだけ、してくれるんですか?」
広い胸板に耳をあてると聞こえてくるのは心音。
ドクンドクン、と激しく揺れている。
わたしを思ってこんなにも動いているの?
もしもそうだというのなら、なんて素敵なんだろう。