ブラックサンタクロース
言葉に詰まるジンさんをじっと見つめる。
ジンさんは目を合わせてはくれない。
「お前が思ってるほど、俺は安全じゃない」
どうして?
ジンさんはむやみに人を襲わないでしょ。
「わたしはジンさんの側にいるのが一番ホッとします」
「これ以上一緒にいると俺、なにするかわかんないよ」
「なにしてくれてもいいですよ?」
ジンさんのどんな部分も受け入れる覚悟、とっくにできているんだから。
「ねえ、ジンさん。人間にだって馬が合わないとか、歪み合う関係ってあるじゃないですか」
「そうだな」
「同じ人間でも、わかり合うのは難しい。それなのに、ジンさんとわたしが今こうしてこの空間で時間を共有できている。抱きしめ合っている。それが答えだと思います」