ブラックサンタクロース
わたしを。
今、ここで。
「たくさん求めてください」
ジンさんの背中に手をまわし、強く抱きしめた。
「なに煽ってんの。ガキのクセに」
「もう『いい大人』なんて演じないで」
「……!」
「ほんとのジンさんが見たいです」
「お前……」
「ジェイド」
わたしに、その名を呼ばれたジンさんが、目を細め、静かに笑う。
「莉音は。俺にならなにされても喜びそうだな」
ジンさんはよくそんな風にわたしに呆れてみせるけれど、そんなジンさんもまた大好きってこと知っていますか。
「もちろんです」
「否定しろよ」
「どうなってもいい」
「は?」
「だからもっとギュってしてください」
「……手加減しねぇと骨くだけるよ?」
「バキバキにして」
「あのなぁ。それじゃお前のこと、もう二度と抱きしめられなくなるだろ」
「……!!」
顔をあげると、
ジンさんがわたしを照れながら見下ろしていた。