ブラックサンタクロース
つくづく上原の洞察力は侮れない。莉音がきちんと親戚らしさを演じていた上で、これだ。
「今はまだ幼さがありますが。もう三年もすれば、絶世の美人になるでしょうねー。ハッ……もしかして羽山さんが女性になびかないのって。あの子のせいなんじゃ……」
「撃つぞ」
「ええ!?」
「くだらねぇ憶測してる暇あったら周囲に目を配れ」
「……はい」
マズイな。莉音に気を取られている間、時間にしてはほんの僅かなものだが、ドームの方の気配を感じ取れなかった。
妙なもんが紛れ込んでなきゃいいが。
「なんだ。まだなにか言いたそうだな、上原」
「羽山さん。人に銃向けたことありますか」
なんだ、そんなことか。
「あるよ」
「どこ狙いました?」
「頭」
「……え」
「バーカ。冗談だよ。足とか腕だな」
「笑えないです。その冗談」
「上原。もしXに出くわしたら、躊躇せずに心臓を狙え」
「なにいってるんですか?……そんなこと、できるわけ……」
「懲戒覚悟で殺せ。生け捕りにできるなんて油断してるとお前が殺られる」