ブラックサンタクロース


上原の作り笑顔が消える。


「それも冗談っスよね……?」

「いいや。本気だ」


Xにダメージを与えるにはそれが一番だ。

心臓なら他のどの部位より効果的なんだ。


銃声が聞こえれば俺がすぐに駆けつけることもできる。


そうすれば上原の命は俺が守ってやれる。


「羽山さん、あなたは、一体なにを考えて……」

「おっと、無線だ」


耳元のイヤホンに意識を集中させるフリをしる。


「俺は、中に入れだと」


そんなタイミングよく耳元から司令が入ってくるわけがない。


これは俺の独断だ。イヤホンもフェイク。

うるさくてつけていられるか。


今すぐに会場内を調べておきたい。


「行ってくる」

「……はい」


上原は、たとえ犯罪者相手でも

簡単に銃口は向けないだろう。


「そんなしけたツラすんな。さっきのは、まあ、アレだ。お節介な先輩の血迷ったジョークだと思ってくれていい。はやいとこ、ぶっ殺してやりたいって思ってな」


なにか起こる前に俺がヤツをみつけられれば事が大きくなる心配もない。

なんとしても見つけ出してやる。

< 151 / 214 >

この作品をシェア

pagetop