ブラックサンタクロース


――――2年前



『ねえ、君。一人ぼっちなの?』


そんな風に
街中で声をかけられることは珍しくなかった。


僕は人間に好かれる容姿をしているから。
もうずっと前から知っていることだ。


……またカモが近づいてきた、と。

そんな気持ちでエサの吟味がスタートする。


逆ナンされた相手を気に入れば、躊躇なく食べた。


単純な話さ。

僕で私欲を満たそうと考えたやつが現れれば
僕が腹を満たす。


そんな、日常だった。


『待ちなさい』


あまり遅い時間に、ひとめのつく場所にいると、外見が未成年にしか見えないせいで警官に補導されかけたり。


『オジサンと遊ぼうか』


あきらかにヤバい男に誘われることもあって。


あんまりしつこいときは、ひと気のない場所に誘導し


――――"うるさいよ"


あっさり殺してやった。


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