ブラックサンタクロース
あるとき
便利屋は、僕にこんなことを言った。
「あなたみたいなタイプは珍しい。食べもしないのに狩るなんて。たいてい我々が回収にくる前に姿を消す。なのにあなたは現場で休憩なんてしている。それも、遺体の隣で」
「……いくらくれるの?」
どんなクズでも綺麗にコロせば使いどころがある。
目とか内臓。それに、肉だって。
それをわかっていながら
激しく損傷させることもあるけどさ。
「それは後日。ご請求か、お支払いをさせてもらいます」
「あっそ」
「またの利用お待ちしております」
不気味なやつだ。
真っ白な服で現れ、それを赤く染めて帰る。
便利屋と遺体と痕跡が消えた場所で、僕は変わらずに身体を休めていた。
ひとけのない公園の、ベンチで。
そこに、やってきたのが――。
『こんばんは。隣、いいかしら』
中崎リョウコだった。