ブラックサンタクロース


あるとき
便利屋は、僕にこんなことを言った。


「あなたみたいなタイプは珍しい。食べもしないのに狩るなんて。たいてい我々が回収にくる前に姿を消す。なのにあなたは現場で休憩なんてしている。それも、遺体の隣で」

「……いくらくれるの?」


どんなクズでも綺麗にコロせば使いどころがある。

目とか内臓。それに、肉だって。


それをわかっていながら
激しく損傷させることもあるけどさ。


「それは後日。ご請求か、お支払いをさせてもらいます」

「あっそ」

「またの利用お待ちしております」


不気味なやつだ。

真っ白な服で現れ、それを赤く染めて帰る。


便利屋と遺体と痕跡が消えた場所で、僕は変わらずに身体を休めていた。


ひとけのない公園の、ベンチで。


そこに、やってきたのが――。


『こんばんは。隣、いいかしら』


中崎リョウコだった。

< 159 / 214 >

この作品をシェア

pagetop