ブラックサンタクロース
「ズタズタにしたい?」
「したいし、されたい系アイドル」
「そんなイカれたコンセプト、よく思いつくね」
「君を見て、ひらめいた。絶対いける」
リョウコの感性は普通じゃなかった。
求めているのは"安定"でなく"飛躍"
ときに美少女
ときに美少年を装わせ
僕をファッション誌に登場させた。
好き勝手、僕を使ってきた。
人間の分際で。
人間の言いなりになったのは、初めてだった。
もちろん、リョウコを喜ばせるためじゃない。
全てはリョウコを食べるために動いているにすぎない。
リョウコの持ってくる仕事なんて乗り気じゃなかった。
働くことに興味なんてなかった。
当然だよね。
僕には食費がかからなければ
美を保つのにも、維持費はかからない。
どちらも新鮮な心臓を食べれば、あっという間に解決するんだ。
洋服だって住む場所だって困っていない。
便利屋からの報酬が、たらふくあるから。
美しく力のある僕に手に入らないものなんてない。
そんな高等な生き物を
リョウコは、商品として。駒のように使った。