ブラックサンタクロース
好きにしろって、なに?
僕はリョウコにとって商品だけど。
大切な商品では、ないらしい。
そう理解したとき、もう関わるのはやめようと思った。
とはいえ、
今のリョウコを食べたところで、そんなに美味しそうでもない。
だったら殺す?
調理に失敗した、食べられない材料をいつまでもそのままにしておくのも癪(しゃく)だった。
だけど。
リョウコを虜にして美味しくすること。
それを不思議と諦めたくなかった。
それで結局リョウコの事務所に留まっている。
周りからチヤホヤされ
名前が売れるにつれ、扱いはどんどんよくなっている。
けれどリョウコは、
未だに一度だって僕を褒めてくれたことがない。
出会ってから今までなんら変わらない態度。
いいや、むしろ僕にかまわなくなった。
最初の方が手をかけてきていた。
それが最近はアカサカに任せきりで。
顔すら合わせていなかった。