ブラックサンタクロース
気配が、消せる――?
「お前も感じなかったんだろう?」
ジェイドの言う通りだ。
「あくまで俺の仮説だが。Xは人間と同じオーラをまとえる。そして、悪魔にもなれる」
「そんなことが可能なの?」
「わからない。だけどそう考えると俺の目を掻い潜ってドームに入ったのも、そんなに離れた場所にいなかったアマリがヤツの気配に気づけなかったのも納得がいく」
「なんでもいい。殺そ?」
「……アマリも取り乱すことがあるんだな」
「取り乱してる? どこが?」
「大切な人なんだな。あの社長」
「……人じゃない。エサだよ」
大切なんかじゃない。
悲しくなんてない。
食べたかっただけ。
「獲物を横取りされてムカついてるだけ」
「だったらどうして泣く」