ブラックサンタクロース
そう言われて頬をなにかが伝っているのに気づいた。
「……あは。リョウコを食べ損ねて。悔しいからかな」
僕があの女をあそこまで育てるのに、どれだけの手間をかけてきたと思ってる。
「喰うわけにはいかないだろ」
「別に。目撃者を消してしまえば問題ない」
「お前の欲の為に多くの命を犠牲になんてさせないさ」
どうかな。
リョウコを食べたら僕は力をつけることになる。キミが僕を倒せるとは思わないね。
「あの人がお前を拾って育てたんだってな」
「なんで知ってるの」
「マニアックな部下が教えてくれたよ。お前が人間界に溶け込むきっかけを与えるなんて。たいしたもんだ」
『こんばんは。隣、いいかしら』
たしかにあの女はフツウじゃなかった。