ブラックサンタクロース
帰れ、と言われて戻ってきたのは
ジンさんの家。
この家は、大すき。
ジンさんでいっぱいだから。
ジンさんの洋服
ジンさんのグラス
ジンさんの香り――……
「キミはどこからきたの?」
ジンさんで溢れる空間に、
いるはずのない存在がいた。
襟元は真っ赤に染まり
眼球は黒く
――ううん、片眼だけが、黒い子供。
直感で理解した。
この子を逃がしちゃ、いけない。
この場にとどめておいたほうが
ジンさんは、きっと喜ぶ。
だって、この子は――……
「ねえ。どこからきたの?」
この子こそ、世間を脅かす存在。