ブラックサンタクロース
襟元の赤色は
返り血を浴びた、証拠。
よく見ると
袖まで赤に染まっている。
人を食べてきた……?
ただし口元は汚れていない。
怪我人が出たのは明白だけれど
死人が出たかは、わからない。
このイキモノが
空腹でいる可能性は、ゼロではない。
こんなことを考えている間にも
殺されてしまうかもしれない。
……いやだ。
今、死にたくない。
わたしはジンさんのために死にたい。
わたしの命はジンさんのものだ。
他の誰にも奪われるつもりない。
それでも
それが、叶わないから――……
「どこからきたの?」
「わたしが聞きたい」
せめて
"香り"を残しておかなくちゃ。
わたしがこの子に食べられたら
わたしの残り香をたどって、
ジンさんは"X"見つけられる。