ブラックサンタクロース


ほんの一秒もかからないあいだに

Xは、わたしの心臓をえぐれるはず。


どうしてわたしに質問するの?


戦意は、ないの?


それとも


油断させたところで、

突然食らいついてくるつもりなの?


計画性は、あるの?


ただ、衝動的に生きているの?


「ここは。あなたの家じゃ、ない」

「……いえ」


Xは、自分の言葉を確かめるように


「ボクの、いえじゃ、ない」


ゆっくりと、つぶやいた。


その声は透き通るようで

こんなにも繊細な少年が、次々と無差別殺人を繰り返したとは信じがたい


けれど、少年から

"普通じゃないなにか"を感じもした。


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