ブラックサンタクロース



アマリさんあての手紙の文面から、

言葉が得意だという印象は抱けなかったが


「あなたが手紙を書いたの?」

「……かいた」


簡単な受け答えができる程度の知能は、あるらしい。


「ファン、だから?」

「……どうして」

「え?」

「どうして。よわいヤツらと。……どうして」


おそらくXはアマリの強さを把握している。


というよりは

アマリさんと自分が"同族"あるいは"似た者"だと考えている。


人間が自分たちよりもずっともろい生き物だという認識も、ありそうだ。


だから

わたしたちを――見下している。


「アマリさんが人間といるのは。ゆるせない?」

「ニン……ゲン?」

「あなたが心臓を奪ってるのが人間。言わば、あなたの――ご飯だね」

「……ニンゲン。たくさん、いる。ボクは……ひとりぼっち」

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