ブラックサンタクロース
本当に、
ほんの一瞬の出来事――――だった。
「莉音……!」
触れられることなく
切り刻まれる、なんて。
「くんのはやいよ。……オジサン」
「人の家に無断で上がり込むなんて。躾のなってないガキだな?」
パラパラと
床一面に散らばるのは――、わたしの髪。
「ちゃんと……傷つけてから返したかったのに」
「お前モテねえだろ」
目に見えない速さで髪を切られたわたしは
次の瞬間には、
「……どうして? どうして、ひっそり生きてるの」
「あ゛ぁ?」
――――ジンさんの、腕の中にいた。
「きみ。まあまあ強いのに」
ピンチに駆けつけてくれるなんて
やっぱりジンさんは、わたしのヒーローだ。
「驚いた。まさかとは思ったが――お前、気配が消せるんだな」