ブラックサンタクロース


目に見える殺気を感じた。


ジンさんは、怒っている。


態度こそ変わらない。


落ち着いた口調で、声のトーンは低く

それでいて物凄く高圧的だ。


「どうやらボクは的を間違えたみたいだ。あのオバサンより。……真っ先にこの子を狙ってた方が、面白いものが見られた」

「言っておくがコイツは。お前を(よろこ)ばせたりしねえぞ」



【莉音は、俺の大切なヒトだ】



「俺のためなら悦んで死ぬような女だ」


ジンさんが、わたしを、守ってくれた。

ジンさんが、わたしのために、怒っている。


ジンさんの腕の中で

ジンさんに大切なヒトって言われた。


"ガキ"でなく"女"って言ってくれた。


「今だって。いつ自分がヤられるかもわからねえのに――俺のことばかり考えて赤くなってやがる」
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