ブラックサンタクロース
「あーあ。これからが面白いところだったのに」
「面白い?」
「さっきまで生意気だったゴミが。泣き叫んだり命乞いするとこ見るのは。まあまあ見物だからな。……こいつらに乱暴にされた子たちの分まで苦しんでから逝けばいいさ」
「……わたし、待ってますね」
「は?」
「そのひとたち。起きるまで」
「なんだと?」
「いたぶるんでしょう?」
それがあなたの望むことなら。
わたしはいくらでもお付き合いしたい。
でも。
「なにも自然に起きるの待たなくても、今起こせばいいんですよね。どうやったら意識戻りますかね。水でもかければ寒さで飛び起きるのでは……手首落とした男は止血しないと、もう長くはないですね」
はやく、二人きりに、なりたいなあ。
話したいこと、たくさんあるから。
「お前、肝すわってんな」
(?)
サンタさんが、高い位置から、わたしを見下ろしてくる。
――ドクン
伏せ目がちな、目。
意外に長いまつ毛。
病的な白さ。
なのに、黒に、包まれている。
――あなたは、本当に、美しい。
「無理もねぇか。幼い頃に……『あんなもん』見ちまったんだもんな」