ブラックサンタクロース



サンタさんの口元には鮮やかな血がついてる。


「やっぱり男は不味いな。それも性悪は」

「……誰だったら美味しいんです?」

「そんなの女の方が美味いに決まってる」


当たり前のように返されてしまった。

それが、あなたの世界の、常識なの?


「サンタさんは人の心臓を食べて生きてるの?」

「いっとくが俺はサンタなんかじゃない」

「え? でもさっき、サンタクロースって」


あんなにカッコよく、登場したじゃないですか。


「ノリだよノリ。お前が昔、勘違いしてきたろ」

「勘違い……だったんですか」

「そうだ。お前の思い込みだ。10年前も、今日も。たまたまクリスマスイヴに俺が現れたからそう思ったんだろうがな。俺がサンタ? 笑わせるな。そんな愉快な存在なわけがない」


< 27 / 214 >

この作品をシェア

pagetop