ブラックサンタクロース


「サンタさんじゃ、ないの……ですね」

「夢壊しちまって悪いな」


それじゃあ。

あなたは……何者なんですか。


「そろそろ俺、行くわ。お前も適当に帰れ。もう変なヤツについてくなよ?」

「……!! ま、待ってください」


男の服を掴む。


「なに」

「行かないで」

「……離せ」

「どうして助けてくれたんですか?」

「別に。気まぐれだ」


迷いなくそう答えられる。

気まぐれ?

だったらそれでいい。


「もっと起こしてください。気まぐれ」

「はあ?」

「話が、したいです」

「俺は話すことなんてねーけど」

「どこに住んでるんですか」

「聞かれて素直に答えるとでも?」


きっと逃げようと思えばすぐにわたしからなんて逃げられるのに。

冷たいことを言いながら会話してくれるのは、なんでですか。


サンタさんも、わたしと、もうちょっと居てもいいと思ってくれてるって自惚れていいですか?
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