ブラックサンタクロース
小さな莉音がいたのは、あまりにも広すぎる部屋だった。
大きなクリスマスツリーは赤や黄色や青のライトがチカチカと点滅しながら光っていて。
色画用紙で作ったような飾りが室内の至るところに施され、テーブルには手作りケーキが置いてあった。
楽しいクリスマスになるはずだった夜
莉音は、親を目の前で亡くした。
瞬時にそれ以上のことなんて把握しきれなかった。
それでも、明らかだったことがあった。
『コイツは孤独になった』
――そう想うと、自然と莉音を抱きしめていた。
莉音の前ではとぼけたが、今でもあの時のことは鮮明に覚えている。
柄にもないことをしてしまったから。
あのとき俺が、あんなことしなければ――。