ブラックサンタクロース
出逢ってから再会するまでの10年間。
俺は、離れた場所から莉音のことを『視て』きた。
一度や二度でない。
毎日というわけでもない。
ただ、気の向くままに。
だから俺は知っている。
毎年、アイツがクリスマス間際になるとド下手くそな黒いサンタの絵を描いたり。(俺はもっとカッコイイ)
気味の悪い黒い人形を粘土で作ったりして俺のこと待っていたこと。(どうせ作るならスタイリッシュにしろ)
そして俺に会えないとへこんでいたこと。
めげずに翌年のクリスマスを待っていたこと。
全部、わかっていた。
そんな莉音のこと、ヘンなガキだなと、遠くから見て笑っていた。