ブラックサンタクロース
莉音を周りのヤツがからかう現場も、幾度となく目にしてきた。
あいつは何年もイジメられていた。
親が人殺しだということ
莉音自身が周りと違うこと
その程度のことで、貶されていた。
自分と違うことをする者を集団になって除外したり罵るのは、人間の醜さのひとつでもある。
見ていていい気はしなかった。
だからといって、俺が手を差し伸べることは、なかった。
見てみぬフリを続けた。
当然だ。
俺と莉音の関係は、悪魔と餌になりうる少女でしかなかったから。
泣きもせず、文句も言わずに暮らしていた莉音の
その逆境にめげない姿に
俺は惹かれていったのかもしれない。
そして
強いクセに、狂っているクセに
俺の前でだけ見せてきやがる
素直さと愛らしさは
本当に……目が離せなくなる。