ブラックサンタクロース


「お前……“食事”してきたのか」

「さすがキミは鼻がきくね?」


すぐにわかった。

そいつが随分と新鮮なものをたった今喰ってきたのだと。


それがなにかは、敢えて聞かない。

聞いて気分のいいものでないことくらい容易に想像がついたから。


「キミもさぁ。もっと美味しいもの狙えばいいのに。売れ残りとか賞味期限切れたのとかばかりだと、身体によくないよ?」

「黙れ」


たしかに俺が喰うのはクソ不味い人間に違いないが口出しされる覚えはない。


「美味しかったなぁ。さっき食べた――」

「ぶっ殺すぞ」


それ以上は、言うな。

既に想像できすぎて気分悪いってのに。


それだけいい香りをプンプンさせてるんだ。


きっとコイツが喰ってきたのは……。


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