ブラックサンタクロース


――ゾクゾクする


『それ』が、どれだけ美味いかと考えたら。


俺の本能が。

俺の中の魔物が、叫んでいる。


『喰いたい』と……。


「やだなぁ。僕の心臓食べる気?」


ニヤッと嬉しそうに問いかけてくる。


「たしかに僕はキミのこと好きだし。美しいから。美味しいかもね?」


己の欲望に素直なコイツは喰いたいときに喰いたいものを容赦なく食べる。


女と甘いキスを交わした数秒後には我慢できずに喰っちまったなんてことを、けろっとした顔で言うほどのイカれた野郎だ。


人間をただのエサとしか思っていない。

更には残酷であれば残酷なほど喜ぶヤバイやつ。


可愛い見た目に騙されたが最後。


美味いものを追い求めた結果生まれた

猟奇的でグルメな魔物。

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