ブラックサンタクロース


「……俺が機嫌損ねる前に失せろ」

「もう十分不機嫌なクセに」

「わかってるなら――」

「僕はキミが弱っていく姿を見たくないだけ。仲間として」

「悪かったな。老いぼれで」

「キミはまだまだ若いのに。僕なんかよりもずっと」

「お前いくつなんだよ」

「ナイショ♡」

「あっそ」

「キミは、かなりの男前だよねぇ。その色っぽい外見があれば、いくらでも美味しいエサに育てられるでしょ?」

「いい加減に、」

「いいの?」

「なにが」

「あの子、連れ去られちゃったよ」

「は?」


俺は、莉音を見失った。


「連れ去られただと?」

「黒いワゴンに乗せられて」

「マジかよ」

「はやく行かないとヤバイ感じだったけど」

「そういうことは先に言え」

「あっちに向かって行ったよー」
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