ブラックサンタクロース
テレビのリモコンを操作し、
「元から切ってるし」プラグをコンセントにさすと、アマリは目の前の大型液晶テレビを眺める。
「どのニュース見ても、X、X、X。アイツのことばかり」
「そりゃ、近年稀に見る凶悪犯罪者だからな。この国でここまで酷(むご)い事件は、そう頻発してない」
「通勤ラッシュの電車の中。スクランブル交差点。いつも人目につくとこで行われる犯行。なのに、誰も犯人を見ていない。臓器密売組織の仕業とかいう見解もあるけどさぁ、絶対食べてるよねぇ」
「俺もそう思う」
「感じてるんだよね? ジェイドも」
「ああ。ただもんじゃねぇ気配をな」
だが、どこから漂ってきてるかわからないから厄介だ。
「きっとそいつも、人間のフリして生きてるんだろうね。僕らみたいに」
「これ以上好き勝手させるわけにはいかねぇ」
「様になってるねぇ?」
「は?」
「刑事さんみたい」
「……刑事だよ」
「キミはどうして人間に生まれて来なかったんだろうね」
「……!!」
「誰よりも人間らしいのにさぁ」