ブラックサンタクロース
――ああ、思うとも。
感じるとも。
嫌でも気づくさ。
「よく届くんだ。不気味なファンレターは」
「これが、ファンレターねぇ」
「これまでにもね。髪を切ったときに一本だけでも頂戴とか。逆に私物を受け取って下さいって、信じられないモノ送りつけられたことあるんだ」
「お前のファンにはイカれたヤツがいるんだな」
「大半はジョークだよ。中には本気で危ないのもいるけど、きっとそれは僕に限ったことじゃないよね」
「なあ。アマリってどういう路線で売ってるんだ?」
モデルかなにかしてるんだったよな。
「『ズタズタにしたい/ズタズタにされたい系アイドル』」
「そりゃすげぇな」
「ファンはさ。僕を苛めたい人と、僕に苛められたいって人に別れるんだよね」
両極端だな。
「ファンはお前のこと女だと思ってんの?」
つーか
いつの間にアイドルになったんだよお前。
「年齢も性別も非公開さ」
「中身は完全にオスなのにな」
「そんなことないよ? ジェイドになら抱かれてもいい」
そういってニコリと微笑むアマリ。
「気色悪いこというな」
「やっぱり抱きたいかなー」
「…………」
ところでお前いくつなの?