ブラックサンタクロース
まあ、別にいくつでもいいが。
そんなに美しくいられるのも、いいもん喰ってる証だ。
「臭うでしょ?」
「ああ」
この手紙を書いたヤツが人間ではないと、そんな匂いがプンプンしている。
「Xは、僕のこと襲う気かな」
「気ぃつけろよ」
「心配してくれてるの?」
「お前はそう簡単にくたばらないだろうが、まわりの人間が巻き込まれる可能性がある」
すると、アマリは真顔になりこう言った。
「巻き込まれるヤツはそういう運命だったんだよ」
「!」
「スーパーの肉売り場見たことある?」
「……ああ」
「動物たちの肉がずらりと並んでいるよね。消費期限なんてつけられて。期限切れの肉はゴミ扱い。買われたのだってそうだ。果たしてどのくらいの人が完食してるのかな」
「…………」
「この世界にはこんな素敵な言葉がある。『弱肉強食』――僕、この言葉好きだなぁ。弱いものを犠牲にして強いものが生き残る。当たり前じゃない?」
そういうと、アマリは窓の外に身を投げた。