ブラックサンタクロース


まあ、別にいくつでもいいが。

そんなに美しくいられるのも、いいもん喰ってる証だ。


「臭うでしょ?」

「ああ」


この手紙を書いたヤツが人間ではないと、そんな匂いがプンプンしている。


「Xは、僕のこと襲う気かな」

「気ぃつけろよ」

「心配してくれてるの?」

「お前はそう簡単にくたばらないだろうが、まわりの人間が巻き込まれる可能性がある」


すると、アマリは真顔になりこう言った。


「巻き込まれるヤツはそういう運命だったんだよ」

「!」

「スーパーの肉売り場見たことある?」

「……ああ」

「動物たちの肉がずらりと並んでいるよね。消費期限なんてつけられて。期限切れの肉はゴミ扱い。買われたのだってそうだ。果たしてどのくらいの人が完食してるのかな」

「…………」

「この世界にはこんな素敵な言葉がある。『弱肉強食』――僕、この言葉好きだなぁ。弱いものを犠牲にして強いものが生き残る。当たり前じゃない?」


そういうと、アマリは窓の外に身を投げた。

< 93 / 214 >

この作品をシェア

pagetop