ブラックサンタクロース


【キミはどうして人間に生まれて来なかったんだろうね。誰よりも人間らしいのにさぁ】


アマリの言葉が頭の中をぐるぐるとめぐる。


俺は人間らしくなんてねぇよ。

こんな人間いてたまるか。


紛れている。それだけだ。


「テレビ消してけよ」


なんとなしにリモコンで別の局に切り替えると、音楽番組が流れていた。


『今週のシングルランキングは――』


アーティストなんてまったくわからない。

芸能人だろうが犯罪者だろうが、

『エサ』で。


違いは質と味くらいで。


特別興味なんて、ありやしないんだ。


『2週連続1位はAMALIの……』


おいおい。

アイツじゃねぇか。


テレビ画面に映し出されているアマリは、


「これが、アマリ……?」


俺の想像を遥かに上回るほどに輝いていた。


納税者ってのは、本当らしい。


「なに夢を叶えた少女みたいな顔してんだよ」


案外、お前も人間らしいんじゃねーの。

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