ブラックサンタクロース
「……そういうことは、入る前に言え」
「すみません」
「待ってろ。すぐ持ってくる」
そんな布切れ一枚で俺の前にいることに少しも躊躇いはないのだろうか。
「ねえ、サンタさん」
「ん?」
「ジェイドって呼んでもいいですか?」
「……は?」
「それとも、ジンさんの方がいいですか」
莉音からはサンタさんと呼ばれ慣れているせいか、名前で呼ばれてもしっくりこない。
「さっきアマリさんが名前で呼んでるのみて、いいなって……思ったんです。名前呼び」
好きに呼べばいいのにいちいち確認してくるのが可愛い。
「なんでもいいよ」
「それから」
「……?」
潤んだ瞳でじっと俺をみつめる莉音は、頬が桜色に染まっている。
「ジンさんと仲良くなるためにはどうすればいいですか?」