いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~


「今日は暑いよね。沙優も休憩に何か飲んで行く?」


気を利かせ、テーブルに立てかけてある茶色い表紙のメニュー表を開いて渡してくれたいち君。

私はそれを受け取ると、豊富なドリンクメニューを眺めた。

このカフェはコーヒーだけじゃなく、紅茶の種類も多くて見ているだけでもウキウキする。


「それじゃあアイスアップルティーを飲もうかな」

「良かった。少し相談したいことがあったから」

「相談?」

「うん。ああ、すいません。アイスアップルティーをひとつお願いします」


通りかかったスタッフに注文してくれたいち君。

「かしこまりました」と微笑して、青年はオーダーを厨房に伝えに行った。

相談、とは、何の相談だろう。

今日は買い物に付き合ってくれと言われているけど、もしかして予定を変更でもしたいとか?

ふと、いち君がズボンのポケットからスマホを取り出してディスプレイを確認する。

そして「進捗か……ちょっとごめん」と手早く文字を入力した。

仕事なのだろうと、私は店内に流れるゆったりとしたクラシックミュージックを聴きながら彼を待つ。

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