いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
「お待たせ。いきなりだったのにありがとう」
「ううん、気にしないで」
覗き込むように腰を折って微笑み返すと、運転手さんの渋い声に「さあ、どうぞ」と乗るように促される。
「ありがとうございます」
昨日のスイートルームもだけど、リムジンに乗るのも初めてで、僅かに高揚しながらいち君の向かいに腰を下ろした。
「これ、お家の車なの?」
「一応ね。仕事の時はいつもこれで送り迎えをお願いしてるんだ。車の中で仕事もできるからね」
続く話では、基本的に土日は運転手の小野瀬さんはお休みらしい。
けれど、元々今日は午前中に仕事で出かけていたらしく、休日出勤をお願いしていたんだとか。
その代わり明日はお休みしてもらうので、明日は自分の車で出勤する予定なのだと彼は教えてくれた。
「帰りも送るから心配しないで潰れていいよ」
からかうような笑みを浮かべるいち君。
「そこまで飲む予定はありません。いち君じゃないんだから」
「はは、それを言われると弱いな」
私の反撃に彼は、今日これから行くのもいち君が以前酔い潰れたBARなのだと話した。
聞けばそのお店は大学時代から行きつけのお店なのだとか。
そんな彼の行きつけだというBARは、日曜の夜にも関わらず、店内は満員御礼状態だ。
けれど、事前に予約してたいたようで、いち君を見るとバーテンダーがカウンターから出てきた。
以前訪れた際に、私に声をかけてくれた人だ。