いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~


『付き合ってみなければ見えないものもある』


そう言って、凄く好きだった人と付き合えたのに一週間で気持ちが萎えて破局した友人もいるし、石橋を叩いて渡る慎重派の私としては、いくらいち君でもやはり考える時間はまだまだ欲しいところだ。

ただ、彼と結婚しても不幸にはならないのはわかる。

きっと何年経っても愛情を持って接してくれるだろうし、子供ができたら育メンと呼ばれる良きパパにもなりそうだ。

美波ちゃんと大地君とも良好な関係を築けるだろう。

では、彼の父親とはどうか。

表向きは問題なく接することはできるかもしれないけど、いち君といち君のお父さんの関係が穏やかじゃないから、どんな感じになるのか予想できない。

いち君と結婚するのが嫌なのか。

その答えはノーだけど、決心するにはやはりまだ早い。

私は彼のメッセージに返信する。


【土曜日に会えるのを楽しみにお仕事頑張るね】


結婚はさておき、彼を想う気持ちは確かに胸の中にあるから、私はそれを変に隠すことなく、けれど彼の負担にならない程度の文章で今の気持ちを伝えたのだった。


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