いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
プレミアムデイ
気持ち良さそうに風に揺れる椰子の木。
夏を主張するかのごとく元気に咲いているのは、鮮やかな色が印象的なハイビスカスだ。
太陽の照りつける街には、楽しげな雰囲気の人々が往来している。
私はその光景を車のウインドウ越しに眺めていた。
冷房の効いた涼しい車内には、ラジオから流行りの曲が流れ、いち君が「あ、この歌うちのCMで使ってるやつだよ」なんて教えてくれる。
いつもならここで「この曲いいよね!」なんて話に乗るところだけど、段々と目的地が近づいてきて別のことが気になってる今は「そうなんだね」としか答えられない。
私の返事に彼は苦笑した。
「そんなに嫌なら別のところに行こうか?」
提案され、けれど私は首を横に振る。
だって行きたいのだ。
高校以来ずっとご無沙汰だった。
そのうち行きたいなと思っていたし、だから行きたい。
ましてこんな最高なロケーションは逃したくない。
でも、勇気が出ないのだ。
「……露出度の低いのはあるかな?」
「あるんじゃないかな? でも、沙優なら大丈夫だよ」
「見てないからそんなこと言えるの!」
人前で、いち君の前で。
「なかったら服のまま砂浜にいる」
水着になる勇気が。