いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
……これは、あれだろうか。
恥ずかしいからあえて花の名前は言わなかった?
いや、そうであれば花言葉うんぬんという話題は出さないはずだ。
そうなると、俺の気持ちが気になるなら探して調べてねということだろう。
……なんてずるい人だ。
いち君のような眉目秀麗な人にそんな風に言われて、気にならない女性がこの世の中にいるだろうか。
まして、私にとっては初恋の人だ。
結婚することに前向きではいなくとも、気になるに決まってる。
幸い、花の名前はさっき仁美さんが教えてくれたので、花言葉はすぐに発覚するだろう。
私は手紙をテーブルに置くと、代わりにスマホを手に取った。
そして、検索を始めようとインターネットの画面を開いたところで、彼のもうひとつのずるさに気づく。
こうして花言葉を調べようとしている今この時、私の頭の中にはいち君の存在がある。
つまり、無意識に彼のことを考える時間になっているのだ。
これは意図的なものなのか。
もしかしたらそこまで考えてないのかもしれない。
けれど、どうにもそう思えてしまうのは、彼は昔からいい意味で人をたらし込むのが上手いからだ。