いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
年賀状、クリスマスカード、誕生日のお祝いメッセージ。
なかなか会えない夏休みにも、残暑見舞いとして手紙を送ってくれた。
そして、その返事を書くのに毎回うんうん唸っていた私。
毎年、彼の優しくて丁寧な文字に癒されていたけれど、それも彼が転校してパタリとなくなった。
「懐かしい……」
いち君からの手紙をひとつひとつ手に取って思いを馳せる。
そして、今日届いた手紙を見て……悩んだ。
あの日、会えなくなって、私の恋は終わった。
二度と会うことはないだろうと諦めて、別の人と付き合ってみたりもした。
だけど、いつもどこかでいち君と比べていたのだ。
それでも、いつか別の人と結婚して、めでたしめでたし。
そのはずだったのに。
まさかまた、会えるなんて。
しかも……
『沙優ちゃん、俺と結婚してほしいんだ』
衝撃的な展開で。
嬉しくないわけじゃない。
でも、一度諦めただけにどうしていいのかわからないのだ。
「……返事、書いた方がいいのかな」
正直、手紙をもらうのは好きだけど、書くのは苦手なので悩んでしまう。