いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
私の落胆した声に羽鳥さんが、少し難しい顔をする。
「……こいつは、言っていいのかわからないけど、はじめは昔、苦しさに耐えきれず過ちを犯したことがあるんだ。だから、何もないとは笑って言ってやれない。ただ、はじめの君に対する気持ちだけは本物だから、そこは疑わないでやってくれ」
正直に話してくれた羽鳥さんに、私は弱々しい笑みを浮かべて頷いた。
私へと向かういち君の気持ち。
それを信じながら、昼間のことをどう受け止めるか。
とても、とても難しい問題。
いち君に彼女との関係を聞けば答えてくれるだろうか。
でも、あの時何をしていたのか聞いて、返ってくる答えや態度が私の望まないものだとしたら。
その時私は、どうしたらいいのか。
電車が来て、羽鳥さんにお礼を告げる。
結局、何も答えは出ないまま、いち君からの連絡にも反応を返せないまま……
私は、朝が白むまで、悩み続けていた。