いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~


「あ、沙優。好き嫌いは良くないな」


いくつかコースター系のアトラクションを楽しんで、空腹を満たす為に訪れたのは、同じく昼食を目的とした人達で溢れるレストラン。

宝石のように輝くカラフルな照明下で、苦手なピーマンを避けながら食べていたら、いち君が目ざとく気づいた。


「ピーマン嫌いなの、昔と変わってないんだ」


クスリと笑い、懐かしそうに目を細めた彼。

私は昔から苦味のある食べ物が苦手で、今でもピーマンとゴーヤは食べられないのだ。


「だって、苦いじゃない」


大人気なく唇を尖らせると、いち君が優しい瞳を私に向けて。


「じゃあ、俺が食べさせてあげるよ」


優しくない提案をした。


「い、いいよっ」

「はい、あーん」


焦って拒否するもいち君は穏やかな笑みを浮かべ容赦なくことを進めていく。

恥ずかしさもあり、もう一度首を横に振ってお断りしたけれど、彼は威圧するように笑みを深めた。


「沙優」


笑ってるけど、許してくれそうもないオーラを醸し出す彼に、仕方なく照れを誤魔化すように思い切り口を開ける。

すると、口の中に箸に摘まれたピーマンが入ってきて、観念し咀嚼した。

口内に苦味が広がって、私は眉をしかめて急ぎ飲み込んだ。


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