いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
よく噛まないとダメじゃないか、なんていち君のたしなめる声が聞こえたけど、そこは容赦してほしい。
ミネラルウォーターの入っている透明なグラスに手を伸ばし、口に含んで苦味を消す。
一連の流れを見ていた彼は、面白がっているのか堪え切れない様子で笑みを零していて、からかうように眉を持ち上げて二口目のピーマンを箸で掴もうとしたから手で制した。
ていうか、これって間接キスじゃ、なんて中学生みたいなことを考えてしまい、心の中で密かに慌てる。
まるで意識しているみたいだ、と。
いち君の食べなさい攻撃から逃げる為、何より、自分の心を落ち着かせる為に、次は何のアトラクションにするかという話題を口にする。
彼が仕方ないなと笑い、園内マップを広げて次に行きたいところを指差したのを見て、私は安堵しそっと息を吐いた。